夜明けの空に〜我が物と思えば軽し笠の雪〜
夜明けの空。
朝日が昇る。
この日、ひこまるは思った。
『俺はもっといい男になる。』と・・・・
・・・・・・・・
2月のとある週・・・・
ひこまるは1週間のうち3つのアポを組んだ。
考えてみれば久しぶりのアポだ。
ここ数ヶ月出撃してもバンゲをしなかった。だが、この前シザーハンズと出撃した日は意識してバンゲをした。
バンゲ→アポ→準即。
この流れが野生時代からのひこまるの本来のスタイル。本来のスタイルを取り戻そうと。
アポには自信があった。
自分は負けるはずない・・・・
ひこまるは常に思っていた。
しかし、この1週間でひこまるの自信は大きく打ちのめされることも知らずに・・・・
2月某日・・・・
一人目のアポ。
一子 Uスト 20中半 彼氏持ち
少しだけ和んでバンゲした相手。正直顔は全然覚えてなかった。LINEをした限りは食いつきもめっちゃいい。
PM9:00
最寄り駅にて・・・・
今日はひこまるの最寄り駅でアポだ。相手の一子はわざわざ1時間かけてひこまるの最寄り駅まで来てくれる・・・うん、なんていい子なんだ!!
やっぱりストリートには夢があるなぁ〜と思って待ち合わせ場所で待っていたら・・・・
ひこまる(まだかなぁ〜(*´ω`*))
一人の女性がひこまるの方に向かって歩いてきた・・・・
一子「ひこまるさーん♡お待たせしました♡」
ひこまる「!?」
ひこまる「誰だコイツ!?」
そこにはひこまるが思っていた女の子とは違う子がいた・・・・・・
ひこまる「あれ?一子ちゃん?なんか雰囲気変わった??」
一子「そんなことないですよ〜wそれよりも早く飲みに行きましょ〜♡」
ひこまるが今日のアポ相手と思っていた子とは全然違う子が来た。
焦る。
すぐにLINEのトップ画を確認した。
LINEのトップ画↓
※イメージです
トップ画には2人の女性が写っていた・・・
ひこまるが思っていた方↓
※イメージです
アポに来た方↓
※イメージです
一子「ひこまるさ〜ん♡」
圧倒的勘違いwww
ひこまる「あああぁぁぁ!!」
自分でバンゲしておきながら相手の顔を覚えてないとか最悪だ。しかも、LINEのトップ画で勘違い・・・・・
ひこまるはストリートで夢を見ていたのかもしれない・・・・・・
(もう帰ろう・・・)と思ったが、一子はわざわざ遠くからひこまるの最寄り駅まで来てくれた・・・・・・
そんな自分勝手な考えはやめようと思い、ひこまる達は居酒屋に向かった。
居酒屋イン
一子が喋る。仕事のグチ、彼氏のグチ、そしてひこまるに対しての好意が凄く感じられた。
一子「私ひこまるさんみたいな人がいいなぁ〜♡」
・・・・・・・・
ひこまるは一連の会話をずっと「うんうん」と聞いていた。
しばらく時間が経ち店を出ることに。
居酒屋退店
一子「ひこまるさんの家この近くですか〜?♡」
ひこまる「うん、そうだよ。」
一子「今からひこまるさんの家行きたいなぁ〜♡♡♡」
ひこまる(コイツ・・・ずうずうしいな・・・)
40分後・・・・
ひこまる「うぉぉぉぉぉ!!!!オラオラオラオラぁぁぁぁぁ!!!!ストリートには夢があるうぅぅぅぅぅ!!!!!」
一子「ああああぁぁぁぁぁぁんんんんん!!!!!ディス・イズ・ドリーム!!!!!」
・・・・・・・・
数日後 ・・・・
ひこまるはM街にいた。
この日はひこまるバーでバンゲしたギャル子とのアポの日だ。
ギャル子 20前半 ギャル
待ち合わせ場所で待つひこまる・・・・
しかし、待ち合わせ時間になってもギャル子は来ない・・・・
LINEを送る・・・・・
既読がつかない・・・・・
電話する・・・・・・
出ない・・・・・・
そこから1時間待つ・・・・・
来ない・・・・
ブチられたぜwww
ひこまる「最悪だ・・・」
まさかのアポをブッチ・・・・
ギャル子はどうして来なかったのだろうか?
多分、そこまでしてひこまるに会いたくなくなったのだろう・・・・
自分の魅力の無さを恨んだ・・・・
落ち込んだ・・・・・
その日は1人で寂しく牛丼を食べて家に帰った。
・・・・・・・
翌日・・・・・
この日もアポの日だ。
今日のアポもひこまるバーでバンゲした女の子。
しかもスト高だ。
※画像はイメージです
ノゾミ 30前半 キレイ系
ノゾミは3人の中で圧倒的に可愛かった。しかも火の鳥さん的にスト値8との事。こんなキレイな女性と楽しい夜を過ごしたいとひこまるは強く思っていた。
アポの準備も完璧にした。
そそくさと仕事を終わらせて家に帰りシャワーを浴びる。
お気に入りの服を着てお気に入りの香水をつける。
アポに使う店は数日前から予約した。
前日ブッチされたのも忘れてマインドセットも完璧だ。
ワクワクする気持ちを抑え、ひこまるはM街に向かった。
PM8:00
M街
M街に入りノゾミからLINEがくる・・・・・
LINEの内容はノゾミが1時間半遅れてくるとの事だった・・・・・
前日のブッチされた件が頭をよぎる。
しかし、ひこまるはノゾミを待つ事にした。
【常に女の子が主体だ。】
ひこまるの座右の銘だ。
しかし、1人で待つのは寂しい・・・Twitterのタイムラインに今の状況を流すとしゃぶちゃん(しゃぶ太郎)から連絡がきた。どうやら近くにいるらしく一緒に時間を潰してくれるみたいだ。うん。なんていい子だ♡
しゃぶちゃんと合流してBARに入る。
お酒とつまみを食べながらお互いの近状報告をする。
語る。
あっという間に時間が過ぎる。
しゃぶちゃんとは話も合うし凄く充実した時間を過ごした。
しゃぶ太郎「ひこにぃ!アポ頑張ってくださいね(^^♪」
ひこまる「うん!しゃぶちゃんありがとう♡頑張るぜぃ!!」
しゃぶちゃんと別れてノゾミとの待ち合わせ場所に向かう・・・・・
てくてくてく・・・・・
PM9:30
ノゾミ「お待たせ〜遅くなってごめんね!」
ひこまる「全然大丈夫(^^♪」
ひこまる(この前会った時よりもめっちゃ綺麗やな〜)
ノゾミと会ってすぐ、ひこまるの心は奪われた。
整った顔立ち。
大人の色気。
凛としたオーラ。
ノゾミはまるでスト高という言葉を擬人化したみたいだ。
焦るな。戸惑うな。臆するな。冷静に、いつも通りひこまるの魅力を出したらいけるはずだ。
心の中でそう自分に言い聞かす。
そして、 ノゾミと予約していた居酒屋へ向かう・・・・
てくてくてく・・・・・
居酒屋イン
横並びのカウンター席について乾杯。
美味しい料理と美味しいお酒に舌づつみを打ちながらノゾミと楽しい時間を過ごす。
しばらく話して分かったが、ノゾミは自立している大人な女性だ。サバサバしていて自分の言いたい事は素直に言葉にする。
そして、モテる。昔からモテてきたであろうオーラを身にまとっている。
この時は、そんな彼女と話しながら駆け引きするのが楽しかった・・・・・
ノゾミ「そういえば友達がこの前ひこまるバーで話しかけて来た時一緒にいた男の人めっちゃカッコイイって言ってた♪」
ひこまる「あぁ、シザーハンズのことね。まぁ、確かにイケメンやなぁ。」
ノゾミ「でも、私は全然タイプじゃないなぁ〜wひこまる君の方がカッコイイよ♪」
ひこまる「ぐふふふっ(o´罒`o)」
どうやらノゾミはひこまるの事がタイプみたいだ。
ノゾミ「ひこまる君はなんでそんな髪型なの??」
少し変わった髪型をしているひこまるはよくこんな事を聞かれる。
ひこまる「世間に歯向かいたくて!」
ノゾミ「なにそれwひこまる君やっぱ変わってるねwww」
いいぞ。いい感じだ。ノゾミに世間一般の人とは違うという感情を持たせる。
ノゾミ「ひこまる君って見た目イカツイからよく怖がられるでしょ?w」
ひこまる「そんなことないよー!俺はプーさんみたいに可愛いよ!!はぁ〜ちみ〜つたぁ〜べたぁ〜いなぁ〜〜♪」
ノゾミ「やっぱひこまる君おもろいなwww」
プーさんルーティンを使い可愛さと笑いを引き出す。即まであと少しだ。
PM11:50
ノゾミと沢山話して楽しい時間を共にした。
ひこまる「そろそろ出ようか♪」
ノゾミ「うん♪」
お会計を済まし居酒屋退店
外は冷たい風が吹き付ける。
自然と手を繋ぐ。
ハンドテストもバッチリだ。
てくてくてく・・・・・
ノゾミ「この後どうする?そろそろ終電だよ?」
ひこまる「今日は帰らない。一緒に泊まろう。」
ノゾミ「えっ!?本気で言ってるの?w」
ひこまる「うん。今からホテルに行こう。けど、ホテルに行く口実を作らないといけないからあそこのコンビニでデザートを買ってそれを食べる口実でホテルに誘うね♪」
ノゾミ「なにそれwほんとひこまる君は面白いねw」
ひこまる「俺は常に素直に生きたいんだ。」
ノゾミ「わかったwじゃあホテルで一緒にデザート食べようか♡」
・・・・勝った。
イージーゲームだった。
ひこまるの頭の中で今夜の勝利が確定した。
ひこまるは今までの経験上ホテルに行ってグダられた事はほとんどない。もちろんこの日も例外ではない。ノゾミは仕上がっている。
そして、コンビニでデザートと飲み物を買って・・・・・・
ひこまる「いぇい!!」
ホテルに入りデザートを食べる。
笑いながら話してデザートを食べるノゾミがひこまるの目にはとても美しく見えた。
ノゾミ「ひこまる君デザート美味しいね♡」
デザートを食べ終わり、先にシャワーを浴びたノゾミが部屋に戻ってきた。
ベットにいたひこまるはノゾミを呼ぶ。
ひこまる「こっちにおいで(^^♪」
ノゾミ「うん♪」
隣に来たノゾミを抱き寄せる・・・・
ひこまる(マジで可愛い・・・)
ひこまる「ノゾミ、こっち向いて」
ノゾミ「ん??」
キスをしようとひこまるの唇をノゾミの唇にゆっくり近づけた瞬間・・・・・・ひこまるの目の前にノゾミの手が現れた。
ひこまる「!?」
ノゾミ「しないよ!」
強く芯の通った声でノゾミが言った。
これは形式グダだと思いもう一度キスをしようとした・・・・
顔を背けるノゾミ。
ひこまる「え!?」
ノゾミ「しない。SEXはしない。」
空気が変わった。
まさかのグダ・・・・
ひこまる「なんで?どうしたの?」
ノゾミ「ひこまる君は友達がいいの。」
ひこまる「友達??俺は今日ノゾミを抱きたい。」
ノゾミ「無理だよ・・・てか、私を抱けると思った?」
一瞬、答えに迷った。それでも正直に答えた。
ひこまる「思ったよ。こうやってホテルに入って同じベットにいるし。」
ノゾミ「そっか・・・今まで一緒にホテルに入った女の子はみんな抱けたの?」
ひこまる「・・・うん。みんな抱けたよ。」
正直に答えた。
ノゾミ「そっか・・・でもごめん、私は抱けないよ。」
真っ直ぐひこまるの目を見てノゾミは言った。
それでもグダを崩そうとした。
ひこまる「なんで?俺はノゾミの事素敵だと思うし後悔させないから。」
ノゾミ「じゃあ率直に言うね。」
ノゾミ「私はひこまる君とSEXしたいと思わない。」
頭を鈍器で殴られた様な気がした。
ノゾミ「だから友達のままがいいの。わかる?」
もう、言葉が出てこなかった。
こんなに率直な言葉でグダられたのは初めてだった。
芯の通った強い言葉。
「SEXしたいと思わない」と言うノゾミの目は真っ直ぐで綺麗だった。
自分を持っている強い女性。
ノゾミは中身もスト高そのものだった。
浅はかな考えのひこまる。
敗因は明白だった。
圧倒的魅力不足。実力不足。
抱いてと思わせれなかったこと。
ひこまるは何も言わずその場を離れソファーでタバコをふかした。
しばらくソファーでタバコを吸いながら時間が経つ・・・・
ノゾミはもう寝ただろうか?
三本目のタバコを吸い終わる頃ベットに寝ているノゾミが言った。
ノゾミ「してもいいよ。私はしたくないけど。」
もう、この場所から離れたいと思った。
そんなことを言わせた自分が惨めで情けなくなった。
深夜3時。
着替えをしてホテルを出る準備をした。
ノゾミ「えっ?帰るの?」
ひこまる「うん。一応俺も男だから。ノゾミはこのまま泊まってていいよ。」
強がった。
フロントに1人だけ出ると電話をしてホテルの宿泊料金を払った。
靴を履きドアを開けようとすると後ろからノゾミが抱きついてきた。
ノゾミ「ひこまる君ごめんね・・・」
ノゾミに「ごめん」と言わせたのも惨めだと思った。
本当に自分が情けなかった。
ノゾミの手を払い除け玄関のドアを開けた。
ひこまる「今日は嫌な思いさせてごめん。俺、もっといい男になるから!」
クソみたいな捨て台詞を吐いて1人でホテルを後にした・・・・
ホテル連れ出し負け。
初めての経験だった。
ホテルを出てすぐコンビニのトイレで吐いた。
全然酔ってないのにしばらく吐いた。
食べたものとアルコールが全部出た。涙も出た。
コンビニを出てからしばらく歩いた。
深夜3時、行くあてなどない。家に帰ればいいのに歩いた。何も考えずただ歩きたかった。
1時間くらい歩いただろうか。
疲れたのでタクシーに乗り家に帰った。
玄関を開けてすぐトイレに駆け込んだ。
また吐いた。
もう胃液しか出てこなかった。
しばらくベットに横たわった。
全然眠れなかった。
この日の出来事を思い返すと自分の全てが否定された様に思えてきた。それもまた被害妄想だと思い自暴自棄になった。
ものすごい虚無感に襲われた。
どれくらい時間が経っただろうか・・・・
カーテンの隙間から朝日が射し込んだ。
ひこまる「朝だ・・・・」
また昨夜の事を思い返す。
自分の力の無さがこれでもかというくらいわかった。小手先のスキルやテクニックでどうかなる相手じゃなかった。ナンパ師としてではなく、もっと人として魅力的な人間にならないといけない。
「俺はもっといい男になる。」
カーテンを開け、朝日を見ながら思った。
朝、いつもの様にサザンオルガスターズのグループLINEに昨夜の報告を入れる。
みんなひこまるの事を励ましてくれた。
心が少し軽くなった。
けれど、シザーハンズだけは違った・・・・
ひこまる「バカにしやがって!!きっちりブログにしてやったぜwww」
ひこまる「どやっwww」
落ち込むような負けもブロガーにとっては最高のネタになる。
改めてブログを書いていてよかったと思い、ひこまるは朝、パソコンに向かった・・・・
夜明けの空に
おわり