最強のナンパ師~日暮れて道遠し~
ひこまる(あぁ・・・無情だ。でも、これでいい)
スマホに映るLINEのトーク画面を見て、そっとポケットに閉まった。
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ナンパクラスタに入り、もうすぐ一年半。
毎日が充実している。
毎週のように出撃して、即れたり即れなかったり。
沢山の友達もできた。
別にナンパが特別上手くなりたいわけじゃない。
誰よりもモテたいわけじゃない
めちゃめちゃ沢山の女性を抱きたいわけでもない。
ただ、少しの刺激と好奇心。
そして、自分がいいなと思って、相手もひこまるの事をいいなと思った女性を抱きたい。
ナンパ師として活動してる間は、自分のペースで、スタイルは崩さない。
なによりも自分と周りの人達が楽しい事が一番大事だ。
あと、面白いブログを書きたい。
(ペースは落ちてるけどブログは大好きだ)
数日前、何人かのナンパ師と焼肉を食べながら飲んでいた。
この一年半で飲み会が増えた。
本当に、凄く増えた。
嬉しい事だ。
ナンパ師で集まると、必ず出てくるのがナンパの話し。
銀亀ちゃんはよく悩んでいる。
「もっとモテたいです」と、常に向上心がある。
ダナハさんだってそうだ。
苦手なクラナンを克服しようと研究熱心だ。
けいしはステキな彼女を見つけて結婚したいみたいだ。
いい目標だと思う。
みんなそれぞれナンパに対しての考え方や、思う事、目標がある。
「まぁ、そんな固く考えずに、テキトーに楽しむのがいいよ」
ひこまるができるアドバイスはこんな事くらいだ。
特に中身の無い、軽い言葉。
でも、本当にそうなのだから仕方ない。
人生の中で、そんなに長くない、みんなとナンパする時間を噛み締めるように、ただ楽しみたいだけ。
何十年後に、「あの時はバカやってたなぁ」なんて笑い合えたら最高だろう。
そういえば先日、大阪に台風が上陸する夜、ピコさんとクラナンをした。
台風がくる夜にナンパなんて、多分クラブも人が少ない、今日は坊主かな?
そんなことを少し思いながら出撃した。
ピコさんは大人の魅力がある。
そして、理論的だ。
クラナンにおいての、ピコさんなりの落ち着いたナンパを教わった。
やはり、いろんな人からナンパのやりかたを聞くのはおもしろい。
酒を飲み、音に乗り、クラブを楽しんだ。
数人の女性に声をかけた。
ふと気づくと、ひこまるは一人の女性と和んでいた。
今日も酒をよく飲んだ。
オープンなんて覚えていない。
目の前の女性はひこまるに夢中だった。
よくわからないが仕上がっていた。
運が良かっただけなのかな?
この日は即れた。
半分はコンビを組んでくれたピコさんのおかげだ。
あと半分は正直よくわからない。
でも、そんな即も大切にしていきたい。
過ぎていく一日一日が、そして、ナンパをした一日が、思い出になるように。
最近、思う。
『最強のナンパ師とはなんだろう?』
いや、ナンパだけじゃない。
『ひこまるが目指す最強の自分とは?』
自分の中で答えは出ている。
それは〝自然体〟であること。
食べたい時に食べ、やりたい時にやり、寝たい時に寝る。
人間という生き物の本能で。
文明が発達しすぎた現代、いろんな情報が飛び交っている。
それを活用するのも人間としての一つの生き方だと思う。
でも、世間の常識や価値観に流されたくはない。
美味しい物を、美味しいと思うように。
美しい物を、美しいと思うように。
高級車やブランド物のアクセサリーもいらない。
タワーマンションや広い家にも住みたくない。
屋根と寝床があればそれでいい。
地位や名声もいらない。
極端な話、マイナンバーや戸籍もいらない。
まぁ、それは極端すぎるか。
それでも、裸一貫、自分が自分である事を大切にしていきたい。
そんなナンパ師が、ひこまるにとって〝最強のナンパ師〟なのだろう。
ひこまるはそんなナンパ師を目指そう。
だから行動に移した。
今、ひこまるが本能でやりたい事をした。
それを相手の女性に伝えた。
その女性は一週間前、U街のストリートでバンゲした子だ。
このスタイルで即る。
これで即れたら、ひこまるが思う最強のナンパ師に近づける。
そして、ひこまるが本能でやりたかった事とは・・・・・・・・・
美味しい自家製のチャーシューを作りたい!!
もう一度言う。
美味しい自家製のチャーシューを作りたい!!!!
チャーシューを作った。
そして、LINEをした。
LINEをしてから数日、既読になって返事が来ない。
まだまだ最強のナンパ師には程遠いようだ。
ひこまるは、スマホに映るLINEのトーク画面を見て、そっとポケットに閉まった。
夕暮れのオレンジ色の空から秋の匂いがした。
最強のナンパ師
おわり